宗教について 〜 人の生と死を考える 注88

公開: 2023年3月30日

更新: 2023年3月30日

注88. 新しい専門教育制度を導入できなかった日本社会

米国の社会では、大学教育も社会の要請に従って変化しなければ、大学が生き残ることはできません。つまり、社会が必要としている人材を供給できなければ、大学は消滅してしまいます。それは、大学が、学生の授業料と、企業からの寄付金・献金で運営されているからです。日本の大学の場合、大学の運営に必要な資金は、授業料と政府からの交付金や助成金です。

このような財務体質の違いから、日本の大学では、既存の学部学科を廃して、社会が要請する新しい学部学科を作ることが難しい状況にあります。特に、それまでの学部学科の教育に必要だった教員を解雇し、新しい専門分野の教員を確保することが難しいからです。似たような問題は、ヨーロッパの大学にもありますが、教員の解雇については、日本ほどの難しさはありません。

さらに、日本の社会では、終身雇用制が普通なため、卒業生の専門教育で得た知識をそれほど問題視する傾向はありません。米国などの社会では、卒業生の専門知識が問題視されるため、専門知識を持った教員がいなければ、その学部学科の卒業生は企業に採用されないため、大学経営は破たんします。そのため、米国などの先進諸国では、アクレディテーション制度が導入されています。

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